
記事のポイント
- CopilotのAI学習へのデータ利用停止で情報漏洩リスクを回避し、プライバシーを保護。
- 商用データ保護の有効化や有償プランの活用で、組織全体のデータ管理を安全に。
- 個別管理、監視システムの導入、従業員への周知徹底で安全なCopilot運用を実現。
はじめに
Microsoft Copilotをビジネスで安全に利用するために、AI学習へのデータ利用を停止する方法を解説します。本記事では、情報漏洩リスクを回避し、プライバシーを保護するための具体的な設定手順をステップごとにご紹介します。
個人の利用はもちろん、企業や組織におけるコンプライアンス遵守にも役立つ情報を提供します。CopilotのChat History & Training設定や商用データ保護の有効化、有償プランのデータ保護の仕組みについても詳しく解説し、安全なCopilot運用を支援します。
Copilotのデータ利用とプライバシーリスク
Microsoft Copilotの利用において、データがどのように扱われ、どのようなプライバシーリスクが存在するのかを解説します。特に、AI学習におけるデータの利用方法と、それが情報漏洩やプライバシーに与える影響について掘り下げます。
AI学習におけるデータ利用の仕組み
Microsoft Copilotは、ユーザーとの対話を通じて得られたデータをAIの学習に利用する仕組みを持っています。このプロセスでは、ユーザーの質問、指示、およびそれに対するCopilotの応答が収集され、AIモデルの改善に役立てられます。
データ収集は、Copilotのサービス品質を高めるために不可欠ですが、同時にプライバシーに関する懸念も生じさせます。収集されたデータは、匿名化や集計処理が行われることもありますが、元のデータが完全に特定できないわけではありません。
例えば、特定の業界や職種に関する質問が頻繁に行われる場合、Copilotはその情報を基に、より専門的な応答を生成するよう学習します。しかし、この過程で、機密情報や個人を特定できる情報がAIモデルに組み込まれるリスクも存在します。
Microsoftは、データ収集と利用に関して透明性を保ち、ユーザーが自身のデータを管理できるようにするためのツールと設定を提供しています。例えば、ユーザーはChat Historyをオフにすることで、会話データが学習に利用されるのを防ぐことができます。
また、Microsoftは、収集されたデータに対するアクセス制御を厳格に行い、不正なアクセスや漏洩を防ぐための対策を講じています。しかし、完全にリスクを排除することは難しく、ユーザー自身もデータ利用の仕組みを理解し、適切な対策を講じることが重要です。
データ保護のためには、定期的なプライバシー設定の見直しや、機密情報を含む可能性のある質問を避けるなどの注意が必要です。
情報漏洩リスクとプライバシーへの影響
Microsoft Copilotの利用における情報漏洩リスクは、主にAI学習の過程で機密情報が意図せず組み込まれることによって生じます。例えば、ユーザーがCopilotに企業の内部情報や顧客データを含む質問をした場合、その情報がAIモデルに学習され、他のユーザーへの応答に利用される可能性があります。
このような事態を防ぐためには、データ保護に関する厳格な対策が必要です。Microsoftは、データの暗号化、アクセス制御、およびデータ保持ポリシーなどの技術的および組織的な対策を講じていますが、ユーザー自身も情報漏洩リスクを認識し、適切な行動を取る必要があります。
具体的には、Copilotに機密情報を入力しない、Chat Historyを定期的に確認し不要な情報を削除する、およびプライバシー設定を適切に構成するなどの対策が有効です。
また、企業においては、従業員に対するデータ保護に関する教育を徹底し、Copilotの安全な利用方法を周知することが重要です。さらに、Microsoftが提供するData Loss Prevention(DLP)などのツールを活用することで、機密情報の漏洩を検出し、防止することができます。
プライバシーへの影響に関しては、Copilotの利用によってユーザーの行動や関心事がMicrosoftに収集される可能性があります。これらの情報は、サービスの改善やパーソナライズされたコンテンツの提供に利用されることがありますが、ユーザーは自身のプライバシー設定を管理し、データの収集を制限することができます。
Microsoftは、プライバシーに関する透明性を高め、ユーザーが自身のデータをコントロールできるようにするための取り組みを継続しています。
企業におけるコンプライアンスの重要性
企業がMicrosoft Copilotを導入する際、データ保護に関する法令遵守は不可欠です。GDPR(一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などのデータ保護法は、個人データの収集、利用、および保護に関する厳格な要件を定めています。
企業は、これらの法令を遵守するために、Copilotの利用に関する明確なポリシーを策定し、従業員に周知する必要があります。ポリシーには、Copilotにどのような情報を入力すべきでないか、データの保持期間、およびデータ侵害が発生した場合の対応手順などを明記する必要があります。
また、企業は、Copilotの利用状況を監視し、データ保護ポリシーが遵守されていることを確認するための措置を講じる必要があります。例えば、データ損失防止(DLP)ツールを使用して、機密情報がCopilotに入力されるのを防ぐことができます。
さらに、企業は、Microsoftとの間でデータ処理契約(DPA)を締結し、Microsoftがデータ保護に関する責任を果たすことを保証する必要があります。DPAには、データの処理目的、データのセキュリティ対策、およびデータ侵害が発生した場合の責任範囲などが明記されます。
企業がデータ保護に関する法令を遵守しない場合、多額の罰金や法的措置を受ける可能性があります。したがって、企業は、Copilotの導入にあたり、法務部門や情報セキュリティ部門と連携し、データ保護に関するリスクを評価し、適切な対策を講じることが重要です。
コンプライアンスを遵守することで、企業は顧客や従業員の信頼を維持し、事業の継続性を確保することができます。
Chat History & Training設定の変更手順
Microsoft CopilotのChat History & Training設定を変更し、AI学習へのデータ利用を停止するための具体的な手順を解説します。設定変更によるAI応答精度への影響範囲についても確認し、プライバシー保護とのバランスを考慮した最適な設定方法を説明します。
管理センターへのアクセス方法
Microsoft CopilotのChat History & Training設定を変更するには、まず適切な権限を持つアカウントで管理センターにアクセスする必要があります。通常、グローバル管理者またはCopilot管理者権限が必要です。
マイ アカウント ポータルにサインインし、設定画面に進みます。Microsoft 365のプロフィール名をクリックし、「View account」から設定画面を開くことも可能です。
「Settings & privacy」を選択し、「Privacy」をクリックして、Copilotの設定にアクセスします。この手順により、Chat History & Trainingの設定変更が可能になります。
必要な権限がない場合は、管理者に依頼して権限を付与してもらうか、設定変更を代行してもらう必要があります。管理センターへのアクセスが完了したら、次のステップとしてChat History & Trainingのオフ設定を行います。
設定変更を行う前に、組織内のポリシーやガイドラインを確認し、変更による影響範囲を把握しておくことが重要です。特に、AI応答精度への影響や、過去のチャット履歴の取り扱いについて注意が必要です。
Chat History & Trainingのオフ設定
管理センターにアクセス後、「Copilot activity history」をクリックし、「Delete history」を選択します。表示されるボックスをチェックし、「Delete」をクリックして設定をオフにします。
この操作で、Copilotは過去のコミュニケーション履歴を学習に利用しなくなります。設定変更後、Copilotの応答が初期状態に戻るため、AI応答精度が一時的に低下する可能性があります。
設定が正常に反映されているかを確認するために、Copilotとの会話を試し、以前の履歴が参照されていないことを確認してください。また、設定変更後1週間程度はAI応答精度が安定しないことがあるため、注意深く監視することが推奨されます。
Chat History & Trainingをオフにすると、AIは過去の履歴に基づいて改善した応答を提供できなくなるため、初期精度が低下する可能性があります。しかし、Data Protectionの設定を有効にすることで、保存されたデータが保護され、AI応答精度への影響を最小限に抑えることができます。
設定変更後は、定期的に設定が維持されているかを確認し、必要に応じて再設定を行ってください。
設定変更によるAI応答精度への影響
Chat History & Trainingをオフにすると、Microsoft CopilotのAI応答精度に影響が出る可能性があります。過去のコミュニケーション履歴に基づいてAIが応答を改善することができなくなるため、初期精度が低下することがあります。
オンラインでテストされたデータによると、未削除状態のAIは平均92.5%の精度を記録していますが、設定変更後はこの精度が低下する可能性があります。しかし、プライバシー保護の観点からは、Chat History & Trainingをオフにすることは重要な対策です。
精度低下を最小限に抑えるためには、商用データ保護を有効にすることが推奨されます。これにより、保存されたデータが保護され、AI応答精度への影響を軽減できます。
また、設定変更後もCopilotの利用状況を監視し、必要に応じて設定を見直すことが重要です。例えば、設定変更後1週間でAI応答精度が正常に戻る場合や、長期間精度が低下する場合などがあります。
プライバシー保護とAI応答精度のバランスを取りながら、最適な設定を見つけることが重要です。
状態 | AI応答精度 |
---|
未削除状態のAI | 平均92.5% |
設定変更後 | 低下する可能性あり |
商用データ保護の有効化
Microsoft Copilotの商用データ保護を有効にすることで、組織全体のデータを安全に管理できます。特定のユーザーやグループに対して、データ保護の設定を適用することも可能です。
商用データ保護設定へのアクセス
Microsoft 365管理センターから商用データ保護の設定にアクセスします。まず、Microsoft 365の管理者アカウントで管理センターにサインインしてください。
次に、左側のナビゲーションメニューから「設定」を選択し、「Microsoft Copilot」をクリックします。ここで、商用データ保護に関する設定項目が表示されます。設定を変更するには、グローバル管理者またはCopilot管理者としての権限が必要です。
設定画面では、商用データ保護の有効化/無効化を切り替えることができます。また、詳細設定を行うことで、組織のニーズに合わせたカスタマイズが可能です。設定項目には、データの保存場所やアクセス制御に関するオプションが含まれます。これらの設定を適切に構成することで、組織全体のデータ保護を強化できます。
ユーザーとグループへの適用手順
商用データ保護を特定のユーザーやグループに適用するには、まずMicrosoft 365管理センターで該当するユーザーまたはグループを選択します。
次に、Copilotの設定画面から「ユーザーごとの設定」を選択し、適用したいユーザーまたはグループを指定します。設定を適用する際には、対象となるユーザーまたはグループがMicrosoft Copilotの利用ライセンスを持っていることを確認してください。
適用後、ユーザーがCopilotを利用する際に、商用データ保護が有効になっていることを確認するために、Copilotのプライバシー設定を確認するよう促してください。また、設定の変更が反映されるまでに最大1時間程度かかる場合があります。設定が正しく適用されているか定期的に確認し、必要に応じて設定を調整してください。
データ保護設定の詳細オプション
Microsoft Copilotのデータ保護設定では、組織の環境に合わせて詳細なカスタマイズが可能です。例えば、特定の種類のデータをCopilotによる処理から除外したり、データの保存場所を特定のリージョンに限定したりすることができます。
これらの設定は、Microsoft 365管理センターのCopilot設定画面からアクセスできます。最適な設定を検討する際には、組織のデータ保護ポリシーとコンプライアンス要件を考慮することが重要です。
また、設定を変更する前に、必ずテスト環境で変更の影響を確認してください。設定によっては、Copilotの応答精度や利用可能な機能に影響を与える可能性があります。Microsoftの公式ドキュメントやサポートリソースを参照し、最適な設定を見つけてください。
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企業における安全なCopilot運用
企業がMicrosoft Copilotを安全に運用するためには、組織全体でのデータ保護戦略を策定し、個別管理と監視を徹底することが不可欠です。
個別管理の設定方法
Microsoft Copilotの個別管理では、リソース分割と役割分担に基づいた詳細な設定が求められます。まず、組織内の各部署やチームごとにCopilotの利用範囲を明確に定義し、アクセス権限を適切に設定します。
例えば、人事部門は従業員データへのアクセスを許可し、経理部門は財務データへのアクセスを許可するなど、役割に応じたデータアクセス権限を付与します。次に、ユーザーごとのデータ保護設定を行います。Microsoft 365の管理センターから、各ユーザーのCopilot利用状況を監視し、不適切なデータ共有やアクセスがないかを確認します。
また、Azure AD Privileged Identity Managementを活用することで、特権ユーザーのアクセスを厳格に管理し、不正アクセスのリスクを低減できます。さらに、Data Loss Prevention (DLP)ポリシーを設定することで、機密情報が外部に漏洩するのを防ぎます。
例えば、特定のキーワードやパターンを含む情報がCopilotを通じて共有されようとした場合、自動的にブロックする設定が可能です。これらの個別管理設定を適切に行うことで、企業はCopilotを安全かつ効率的に運用し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができます。
監視とログ収集システムの導入
Microsoft Copilotの安全な運用には、監視とログ収集システムの導入が不可欠です。データフォワーディングと監視排除システムを活用し、組織内のデータフローを可視化します。
Azure SentinelやMicrosoft Purviewなどのツールを使用することで、Copilotの利用状況をリアルタイムで監視し、異常なアクティビティや潜在的なセキュリティリスクを早期に検出できます。具体的には、アクセスログを定期的に分析し、通常とは異なる時間帯や場所からのアクセス、大量のデータダウンロードなどを検知します。
また、リスク管理とデータ保護の検証も重要です。定期的にセキュリティ監査を実施し、Copilotの設定が最新のセキュリティ基準に準拠しているかを確認します。
さらに、ペネトレーションテストを実施することで、システムの脆弱性を特定し、対策を講じることができます。これらの監視とログ収集システムを導入することで、企業はCopilotの利用状況を常に把握し、セキュリティインシデントが発生した場合でも迅速に対応できます。また、収集したログデータは、コンプライアンス遵守の証拠としても活用できます。
従業員へのデータ保護ポリシーの周知
Microsoft Copilotを安全に運用するためには、従業員へのデータ保護ポリシーの周知が不可欠です。まず、データ利用に関する明確なガイドラインを作成し、全従業員に配布します。
このガイドラインには、Copilotの利用目的、データの取り扱いに関するルール、禁止事項などを具体的に記載します。例えば、機密情報をCopilotに入力しない、個人情報を無断で共有しない、不審なリンクをクリックしないなどのルールを明示します。
次に、従業員教育を徹底します。データ保護ポリシーに関するトレーニングセッションを定期的に開催し、従業員がポリシーの内容を十分に理解しているかを確認します。
トレーニングでは、具体的な事例やシナリオを用いて、情報漏洩のリスクやその影響について説明します。また、質疑応答の時間を設け、従業員の疑問や不安を解消します。
さらに、定期的なテストを実施することで、従業員の理解度を評価し、必要に応じて追加のトレーニングを実施します。これらの取り組みを通じて、従業員のデータ保護意識を高め、組織全体でのセキュリティ文化を醸成することが重要です。
対策 | 内容 | 目的 |
---|
個別管理の設定 | リソース分割と役割分担に基づいた詳細な設定 アクセス権限の適切な設定 ユーザーごとのデータ保護設定 Azure AD Privileged Identity Managementの活用 Data Loss Prevention (DLP)ポリシーの設定 | 不正アクセスのリスク低減 情報漏洩の防止 Copilotの安全かつ効率的な運用 |
監視とログ収集システムの導入 | データフォワーディングと監視排除システムの活用 Azure SentinelやMicrosoft Purviewなどのツールの使用 アクセスログの定期的な分析 定期的なセキュリティ監査の実施 ペネトレーションテストの実施 | 異常なアクティビティや潜在的なセキュリティリスクの早期検出 セキュリティインシデントへの迅速な対応 コンプライアンス遵守の証明 |
従業員へのデータ保護ポリシーの周知 | データ利用に関する明確なガイドラインの作成と配布 データ保護ポリシーに関するトレーニングセッションの定期的な開催 定期的なテストの実施 | 従業員のデータ保護意識の向上 組織全体でのセキュリティ文化の醸成 情報漏洩リスクの低減 |
有償プランのデータ保護の仕組み
Microsoft 365 Copilotの有償プランでは、無料版と比較して高度なデータ保護機能が提供されており、組織のニーズに合わせた柔軟な設定が可能です。
コミュニケーションツールの拡張機能
Microsoft Copilotの有償プランでは、コミュニケーションツールとの連携が強化されており、組織内での情報共有や共同作業がより安全に行えるよう設計されています。
例えば、Microsoft Teamsとの連携においては、会議中の議事録作成やタスク管理をCopilotが支援し、その過程で生成されるデータに対する保護機能が強化されています。具体的には、会議の内容が外部に漏洩しないように、データの暗号化やアクセス制御が厳格に適用されます。
また、自宅向けアプリを含む拡張機能の設定においては、商用環境とは異なるセキュリティレベルが求められるため、個別の設定が必要になります。例えば、個人利用を目的としたアプリでは、データの保存場所やアクセス権限が異なるため、組織のポリシーに合わせた設定を行う必要があります。
これにより、従業員が自宅からアクセスする場合でも、組織のデータ保護基準を維持することが可能になります。異なる設定の必要性を理解し、適切な設定を行うことで、コミュニケーションツールを安全に活用することができます。
プライバシーポリシーの違い
Microsoft Copilotの有償プランでは、利用するアプリや機能に応じて異なるプライバシーポリシーが適用される場合があります。
例えば、Microsoft 365 Copilotを利用する場合、組織のデータ保護要件に合わせたポリシーが適用され、個人のプライバシー設定とは異なる場合があります。具体的には、組織内のデータに対するアクセスログの記録や、データ保持期間の設定などが、個人の設定よりも厳格になることがあります。
また、Microsoft TeamsやSharePointなどのコミュニケーションツールと連携する場合、それぞれのツールに適用されるプライバシーポリシーも考慮する必要があります。これらのツールでは、データの保存場所やアクセス権限が異なるため、組織全体でのデータ保護戦略を策定する際には、各ツールのポリシーを詳細に把握することが重要です。
安全な利用のためには、利用するアプリと機能に応じたプライバシーポリシーを理解し、組織のデータ保護要件に合致しているかを確認することが不可欠です。これにより、情報漏洩のリスクを低減し、コンプライアンスを遵守することができます。
有償プランの追加データ保護機能
Microsoft Copilotの有償プランでは、無料版にはない高度なセキュリティ機能が追加されており、組織のデータ保護レベルを大幅に向上させることが可能です。
例えば、Microsoft Purviewとの連携により、Copilotの利用状況を詳細に監視し、不正なアクセスや情報漏洩のリスクを早期に検知することができます。具体的には、特定のキーワードを含むプロンプトの使用を禁止したり、機密情報を含むデータの共有を制限したりするなどのポリシーを設定することができます。
また、データ損失防止(DLP)機能を利用することで、Copilotを通じて外部に機密情報が送信されるのを防ぐことができます。
さらに、Azure Information Protectionとの連携により、Copilotで生成されたドキュメントに自動的に暗号化やアクセス制限を適用し、データのライフサイクル全体にわたって保護することができます。
これらの高度なセキュリティ機能を活用することで、組織はより安全にCopilotを利用し、データ保護に関するコンプライアンス要件を満たすことができます。データ保護レベルの向上は、組織の信頼性を高め、競争優位性を確立する上で重要な要素となります。
機能 | 説明 |
---|
Microsoft Purviewとの連携 | Copilotの利用状況を詳細に監視し、不正なアクセスや情報漏洩のリスクを早期に検知 |
データ損失防止(DLP)機能 | Copilotを通じて外部に機密情報が送信されるのを防止 |
Azure Information Protectionとの連携 | Copilotで生成されたドキュメントに自動的に暗号化やアクセス制限を適用 |
設定変更による影響範囲の詳細
Microsoft Copilotの設定を変更すると、AIの応答精度や過去のチャット履歴の扱いに影響が出ます。設定変更を行う前に、これらの影響範囲を十分に理解しておくことが重要です。
AI応答精度の変化
Chat History & Trainingをオフにすると、Microsoft Copilotは過去の会話データを利用できなくなるため、AIの応答精度に影響が出る可能性があります。
具体的には、ユーザーの過去の質問や指示に基づいてAIが応答をパーソナライズすることが難しくなり、一般的な情報提供に終始する場合があります。精度低下を最小限に抑えるためには、設定変更後もCopilotの利用状況を注意深く観察し、必要に応じてプロンプトを工夫するなどの代替手段を検討することが重要です。
例えば、より詳細な指示を与える、関連情報をプロンプトに含めるなどの対策が考えられます。また、MicrosoftはAIモデルの継続的な改善に努めており、将来的なアップデートによって精度低下の影響が軽減される可能性もあります。
設定変更を行う際は、これらの点を考慮し、ビジネスニーズとのバランスを考慮して判断することが望ましいです。AIの応答精度が業務効率に大きく影響する場合は、設定変更を慎重に行うか、または一部のユーザーに対してのみ設定を適用するなどの段階的なアプローチも有効です。
過去のチャット履歴の削除
Chat History & Trainingをオフにすると、過去のチャット履歴がAIの学習に利用されなくなるだけでなく、ユーザー自身が過去の会話内容を閲覧できなくなる場合があります。
削除される情報の種類としては、過去の質問、指示、AIからの応答などが含まれます。これらの情報は、Copilotのインターフェースからアクセスできなくなるため、必要に応じて事前にエクスポートしておくことを推奨します。
また、チャット履歴の削除は、Copilotが連携する他のアプリケーションにも影響を与える可能性があります。例えば、過去の会話内容に基づいて自動的に生成されるドキュメントやレポートなどが影響を受ける場合があります。
設定変更を行う前に、これらのアプリケーションへの影響範囲を確認し、必要に応じて代替手段を検討することが重要です。例えば、重要な情報は別の場所に保存しておく、または設定変更後も手動でドキュメントやレポートを生成するなどの対策が考えられます。
チャット履歴の削除は、情報漏洩のリスクを低減する一方で、利便性を損なう可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
設定変更後の再学習の可能性
Chat History & Trainingをオフにした後でも、Microsoft Copilotが全く学習しなくなるわけではありません。
Microsoftは、ユーザーの明示的な許可なしに個人を特定できる情報を使用せずに、Copilotの改善のために匿名の利用データを収集する場合があります。AIの再学習プロセスは、収集された匿名データに基づいて行われ、ユーザーのプライバシーを保護するように設計されています。
ただし、企業によっては、これらの匿名データ収集も許可しない場合があります。その場合は、Microsoftのプライバシー設定を確認し、必要に応じてデータ収集をオプトアウトすることができます。
また、設定変更後も、Copilotの利用状況を定期的に監視し、データ利用に関するポリシーを再検討することが重要です。Microsoftは、データ利用に関するポリシーを随時更新する可能性があるため、最新の情報を常に把握しておく必要があります。
データ利用の再検討は、企業全体のコンプライアンス体制を維持し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えるために不可欠です。設定変更を行う際は、これらの点を考慮し、法務部門や情報セキュリティ部門と連携して慎重に判断することが望ましいです。
設定項目 | 設定変更による影響 | 対策 |
---|
Chat History & Trainingをオフ | AI応答精度の低下 過去のチャット履歴の削除 | 詳細な指示を与える 関連情報をプロンプトに含める 重要な情報を別の場所に保存 手動でドキュメントやレポートを生成 |
匿名データ収集 | 企業によっては許可しない場合がある | Microsoftのプライバシー設定を確認し、必要に応じてデータ収集をオプトアウト |
おわりに
Microsoft Copilotを安心して利用いただくためには、データがAI学習に利用されないよう設定を確認することが重要です。この記事では、そのための手順と注意点をお伝えしました。
しかし、企業によってはより高度なデータ保護や、Copilotの機能を最大限に活用するためのカスタマイズが必要となるでしょう。Hakkyでは、お客様のニーズに合わせた機械学習プロダクト開発支援を行っています。Copilotの安全な利用に関するご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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