
記事のポイント
- ロールとグループで権限を管理し、データへのアクセスを効率化、セキュリティを強化。
- アクセスフィルタでデータ制限、ユーザー属性に基づきフィルタリング。情報漏洩のリスクを低減。
- 最小権限の原則に基づき、定期的なアクセス権の見直しでデータセキュリティを最適化。
はじめに
Lookerは、データ分析と可視化のための強力なプラットフォームですが、その力を最大限に引き出すためには、適切なアクセス制御が不可欠です。
本記事では、Lookerにおけるアクセス制御の基本概念から、ロール、グループ、アクセスフィルタといった具体的な機能の活用方法までを解説します。これらの機能を組み合わせることで、組織内のすべてのユーザーが、必要なデータに安全かつ効率的にアクセスできるようになります。
また、最小権限の原則に基づいたアクセス制御のベストプラクティスについてもご紹介し、データセキュリティを確保しながら、ビジネスの成長を支援する方法を解説します。
Lookerのアクセス制御における課題
Lookerのアクセス制御は、組織の成長とともに複雑さを増し、データアナリストにとって大きな課題となります。これらの課題を解決し、安全かつ効率的なデータ活用を実現する必要があります。
複雑化するアクセス権管理
組織が拡大するにつれて、Lookerのアクセス権管理は著しく煩雑化します。ユーザー数やプロジェクト数の増加に伴い、誰がどのデータにアクセスできるかを正確に把握し、管理することが困難になります。
例えば、新しい部署が追加されたり、プロジェクトチームが再編成されたりするたびに、アクセス権の見直しと更新が必要になります。しかし、これらの変更を手動で行う場合、設定ミスや漏れが発生しやすくなります。
特に、異動や退職が発生した際には、速やかにアクセス権を剥奪する必要がありますが、属人的な管理体制では対応が遅れることがあります。その結果、退職者が機密データにアクセスできる状態が継続したり、不要なアクセス権が付与されたまま放置されたりするリスクが高まります。
また、Lookerでは、ユーザーのアクセス権を細かく設定可能ですが、設定が複雑であるため、管理者の負担が大きくなります。例えば、Standardアクセス権を持つユーザーは、自分の名前を基にデータをフィルタリングするため、自分のデータしか見ることができませんが、Premiumアクセス権を持つユーザーはフィルタリングが行われず、全データが表示されます。
このような設定を多数のユーザーに対して行う場合、設定ミスが発生する可能性が高まります。さらに、スケジュールのオーナーが退社した際に、そのスケジュールを別のオーナーに引き継ぐことが課題となります。特にスケジュールオーナーが見つからない場合、これらのスケジュールは削除されるため、重要なレポートが失われる可能性があります。
最小権限の原則の徹底の難しさ
最小権限の原則とは、ユーザーに必要最小限のアクセス権のみを付与するというセキュリティの基本原則です。Lookerにおいても、この原則を徹底することが重要ですが、実際には多くの課題が存在します。
クラウド環境では、複数のアクセス制御要素が関与しており、すべての要素を細かく管理することが困難です。クラウドプロバイダーは、IAM、ポリシー、ロール、ユーザー、グループなど、保護されたアカウントを維持するためのすべてのリソースとサービスを提供していますが、その管理も難しくなります。
人間以外のアカウントにも、最小特権に従う独自の権限が必要ですが、これも管理が難しいです。企業規模が大きいほど、アクセス制御の複雑さが増し、最小権限の原則を徹底することの難しさが顕著化します。
大規模な組織には、多数のユーザーが存在し、すべてを管理することは困難な場合があります。また、権限の細分化が過度に行われることがあり、管理が複雑化します。
例えば、特定のプロジェクトに参加するユーザーグループを作成し、アクセス権を一括設定する方法がありますが、グループのメンバー変更やプロジェクトの終了に伴い、アクセス権の見直しが必要になります。しかし、これらの作業を怠ると、不要なアクセス権が付与されたままになり、情報漏洩のリスクが高まります。
Lookerでは、特定のプロジェクトに関与するユーザーグループを作成し、アクセス権を一括設定する方法が紹介されています。例えば、マーケティングチームにデータ分析ツールのアクセス権を付与することで、管理の手間を軽減し、データの安全性を高めることができます。
Lookerアクセス制御の基本:ロールとグループ
Lookerのアクセス制御において、ロールとグループは重要な役割を果たします。これらを適切に設定することで、データへのアクセス権限を効率的に管理し、セキュリティを強化できます。
ロールの定義と権限
Lookerにおけるロールとは、ユーザーまたはグループに付与される権限の集合体です。ロールを定義することで、ユーザーがLooker内で実行できる操作を細かく制御できます。例えば、特定のデータモデルへのアクセス、ダッシュボードの編集、レポートの作成など、様々な権限をロールに含めることが可能です。
ロールの作成は、Lookerの管理画面から行います。まず、ロールの名前と説明を入力し、次にロールに含める権限を選択します。権限は、データへのアクセス権、Lookerの機能へのアクセス権、管理機能へのアクセス権など、多岐にわたります。モデルへのアクセス権限を付与する際は、どのモデルに対してどの程度のアクセスを許可するかを慎重に検討する必要があります。例えば、マーケティング部門のユーザーには、マーケティング関連のデータモデルへの読み取り専用アクセスを許可し、営業部門のユーザーには、営業関連のデータモデルへの読み書きアクセスを許可するといった設定が考えられます。
ロールを適切に定義することで、データのセキュリティを確保しつつ、ユーザーが必要な情報にアクセスできるようにすることが重要です。
グループの作成とユーザーの追加
Lookerにおけるグループとは、複数のユーザーをまとめたものです。グループを作成することで、個々のユーザーに対してではなく、グループ全体に対してロールを割り当てることができます。これにより、ユーザー管理が大幅に効率化されます。
ユーザーグループの作成は、Lookerの管理画面から行います。まず、グループの名前と説明を入力し、次にグループに追加するユーザーを選択します。ユーザーは、メールアドレスまたはユーザーIDで検索して追加できます。例えば、営業部門、マーケティング部門、開発部門など、組織内の部門ごとにグループを作成することが一般的です。また、特定のプロジェクトに関わるユーザーをまとめたグループや、特定の地域を担当するユーザーをまとめたグループなど、様々な切り口でグループを作成することも可能です。
グループへのユーザー追加と管理は、Lookerの管理画面から簡単に行えます。ユーザーの追加、削除、グループ間の移動などを、GUI上で直感的に操作できます。グループを適切に作成し、ユーザーを追加することで、ロールの割り当てを効率化し、ユーザー管理の負担を軽減できます。
ロールとグループの連携
Lookerでは、ロールを個々のユーザーに直接割り当てるだけでなく、グループに割り当てることも可能です。グループにロールを割り当てることで、そのグループに所属するすべてのユーザーに、そのロールの権限が付与されます。これにより、ユーザー管理がさらに効率化されます。例えば、営業部門のグループに「営業データ閲覧」ロールを割り当てると、営業部門のすべてのユーザーが営業データにアクセスできるようになります。
ロールをグループに割り当てる手順は、Lookerの管理画面から行います。まず、ロールを選択し、次にそのロールを割り当てるグループを選択します。ロールとグループの連携を適切に行うことで、効率的な権限管理を実現できます。新しいユーザーが組織に加わった場合でも、そのユーザーを適切なグループに追加するだけで、必要な権限を自動的に付与できます。また、ユーザーの役割が変わった場合でも、そのユーザーを別のグループに移動するだけで、権限を簡単に変更できます。ロールとグループの連携は、Lookerのアクセス制御における重要なベストプラクティスです。
Lookerアクセスフィルタの活用
Lookerのアクセスフィルタは、データへのアクセスを細かく制御し、セキュリティを強化するために重要な機能です。アクセスフィルタの設定、適用例、注意点について解説します。
アクセスフィルタの設定
Lookerのアクセスフィルタ設定では、特定のデータへのアクセス制限やユーザー属性に基づいたフィルタリングが可能です。例えば、特定の地域データへのアクセスを特定のロールを持つユーザーに限定したり、役職に応じてアクセスできるデータを調整できます。
ユーザー属性に基づいたフィルタリングでは、各ユーザーに部署や役職などの属性を設定し、その属性に基づいてアクセスできるデータを制御します。営業部門のユーザーには営業関連のデータのみを表示し、マーケティング部門のユーザーにはマーケティング関連のデータのみを表示する、といった設定が可能です。
具体的な設定手順としては、まずLookerの管理画面でユーザー属性を定義し、次にその属性に基づいてアクセスフィルタを作成します。例えば、部門というユーザー属性を作成し、営業部、マーケティング部、開発部などの値を設定します。
その後、アクセスフィルタを作成し、営業部のユーザーには営業関連のデータのみを表示するように設定します。この設定により、ユーザーは自分に関連するデータのみを閲覧できるようになり、データセキュリティが向上します。
アクセスフィルタは、LookMLのaccess_filter_fields
パラメータを使用して定義します。このパラメータに、フィルタリングに使用するフィールドとユーザー属性を指定します。例えば、access_filter_fields: field_name: department, user_attribute: department
のように設定します。
これにより、department
フィールドの値が、ユーザーのdepartment
属性と一致する場合にのみ、データが表示されるようになります。
アクセスフィルタの適用例
Lookerのアクセスフィルタは、地域別データへのアクセス制限や機密情報へのアクセス制御に効果的です。例えば、ある企業が複数の地域でビジネスを展開している場合、各地域の担当者には自地域に関連するデータのみを表示するように設定できます。
これにより、担当者は自分に必要な情報に集中でき、誤った情報に基づいて意思決定を行うリスクを減らせます。具体的な設定例として、地域属性を持つユーザーに対して、その地域に関連するデータのみを表示するフィルタを設定します。
LookMLでaccess_filter_fields
パラメータを使用し、地域フィールドとユーザー属性を紐付けます。例えば、access_filter_fields: field_name: region, user_attribute: region
のように設定します。
機密情報へのアクセス制御では、特定の役職や部署のユーザーのみがアクセスできるデータセットを作成します。例えば、人事情報や財務情報などの機密性の高いデータは、限られたユーザーのみがアクセスできるように設定します。
LookMLでaccess_grant
パラメータを使用し、特定のロールやグループにのみアクセスを許可します。例えば、access_grant: { user_attribute: security_level, allowed_values: "high" }
のように設定します。
これにより、security_level
属性がhigh
に設定されているユーザーのみが、このデータセットにアクセスできるようになります。これらの設定により、データセキュリティを強化し、情報漏洩のリスクを低減できます。
アクセスフィルタの注意点
Lookerでアクセスフィルタを設定する際には、いくつかの重要な考慮事項があります。まず、フィルタ設定が複雑になりすぎないように注意する必要があります。
過度に複雑なフィルタは、管理が難しくなり、パフォーマンスにも悪影響を及ぼす可能性があります。フィルタの設計はシンプルにし、必要に応じて複数のフィルタを組み合わせることを検討してください。
次に、アクセスフィルタがパフォーマンスに与える影響を考慮する必要があります。特に大規模なデータセットに対して複雑なフィルタを適用すると、クエリの実行時間が長くなることがあります。
パフォーマンスを最適化するためには、フィルタの条件を絞り込み、インデックスを活用することが重要です。また、Lookerのパフォーマンスモニタリングツールを使用して、クエリの実行時間を監視し、必要に応じてフィルタを調整してください。
さらに、アクセスフィルタの設定ミスによる意図しないアクセス制限が発生しないように注意が必要です。設定を変更する際には、必ずテスト環境で検証を行い、本番環境への適用前に影響範囲を確認してください。
アクセスフィルタの設定は、ドキュメントに詳細に記録し、チーム内で共有することで、設定ミスを防ぎ、管理の効率を高めることができます。定期的にアクセス権の見直しを行い、不要なフィルタを削除することも重要です。
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最小権限の原則に基づいたアクセス制御
Lookerでデータへのアクセスを安全かつ効率的に管理するためには、最小権限の原則に基づいたアクセス制御が不可欠です。ここでは、その原則の定義からLookerでの具体的な設定方法、そして定期的な見直しについて解説します。
最小権限の原則とは
最小権限の原則とは、ユーザーが業務を遂行するために必要最小限の権限のみを付与するという情報セキュリティの基本原則です。この原則を適用することで、不正アクセスや誤操作による情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。
例えば、Looker管理者は、全データへのアクセス権を持つのではなく、担当するプロジェクトに関連するデータのみにアクセス権を持つべきです。また、データ分析者は、データの編集権限ではなく、閲覧権限のみを持つべきです。
最小権限の原則は、組織全体のセキュリティレベルを向上させるだけでなく、コンプライアンス要件を満たす上でも重要です。権限を必要最小限に絞ることで、万が一アカウントが侵害された場合でも、被害を最小限に抑えることが可能です。
さらに、定期的な権限の見直しと調整を行うことで、組織の変更や役割の変更に柔軟に対応し、常に最適なアクセス制御を維持できます。情報セキュリティにおける重要性は、過剰な権限を持つユーザーを減らし、内部からの脅威を抑制することにあります。Lookerのアクセス制御を通じて、この原則を実践することが、データドリブンな組織にとって不可欠です。
Lookerでの最小権限設定
Lookerで最小権限の原則を実現するためには、ロールとグループの適切な設定が不可欠です。まず、ロールを定義し、各ロールに必要な権限を付与します。
例えば、データ閲覧者には閲覧権限のみを、データ編集者には編集権限と閲覧権限を付与します。次に、ユーザーを適切なグループに割り当て、そのグループにロールを適用します。これにより、ユーザーは所属するグループに基づいて必要な権限のみを持つことになります。
不要な権限は削除し、定期的に見直すことが重要です。例えば、プロジェクトが終了したユーザーや、役割が変更になったユーザーの権限は速やかに削除または変更する必要があります。
Lookerでは、IAM(Identity and Access Management)を使用して、ユーザーと管理者のアクセス権をプロビジョニングします。Looker管理者ロール(roles/looker.admin)を持つユーザーは、Lookerインスタンス全般の管理機能を有しますが、Lookerインスタンスユーザーロール(roles/looker.instanceUser)を持つユーザーは、特定のLookerインスタンスへのログインと基本的なデータ閲覧機能のみが許可されます。このように、ロールとグループを適切に設定することで、最小権限の原則に基づいたアクセス制御を実現できます。
アクセス権見直しの定期的な実施
Lookerのアクセス権は、定期的に見直すことが不可欠です。少なくとも四半期に一度、またはプロジェクトの完了時や組織変更時に、アクセス権の見直しを実施することを推奨します。
見直しの際には、各ユーザーのロールとグループの割り当てが適切かどうかを確認し、不要な権限は削除します。監査ログを活用することで、誰がどのデータにアクセスしているかを把握し、不審なアクセスがないかを監視できます。
例えば、特定のユーザーが通常アクセスしないデータにアクセスしている場合、不正アクセスの可能性を疑い、調査を行う必要があります。また、アクセス権の見直しプロセスを文書化し、関係者間で共有することで、透明性を高め、責任の所在を明確にすることが重要です。
監査ログの活用は、アクセス状況の把握だけでなく、アクセス制御ポリシーの改善にも役立ちます。例えば、特定のデータへのアクセス要求が多いにもかかわらず、そのデータへのアクセス権を持つユーザーが少ない場合、アクセス権の付与基準を見直す必要があります。定期的な見直しと改善を通じて、Lookerのアクセス制御を常に最適な状態に保つことが、データセキュリティを確保する上で重要です。
Lookerアクセス制御のベストプラクティス
Lookerのアクセス制御を最適化し、セキュリティと利便性を両立させるための推奨設定と運用方法について解説します。
命名規則の統一
Lookerにおけるロールとグループの命名規則を統一することは、管理の効率化と可読性の向上に不可欠です。明確で一貫性のある命名規則を確立することで、誰がどのデータにアクセスできるかを容易に理解し、管理者はアクセス権限の付与や変更を迅速かつ正確に行えるようになります。
例えば、ロールの命名規則では、「SalesTeam_DashboardAccess」のように、役割とアクセス範囲を組み合わせた名称を使用します。これにより、ロールの目的が一目でわかり、誤った権限付与を防ぐことができます。
グループの命名規則も同様に重要で、「Marketing_EastRegion」のように、部署と地域を組み合わせることで、グループの対象ユーザーを明確にします。
命名規則を徹底することで、Looker全体のアクセス制御が整理され、セキュリティリスクの低減にもつながります。また、新しいロールやグループを作成する際には、既存の命名規則に従うことを徹底し、必要に応じてドキュメントを更新することで、一貫性を維持します。
命名規則の違反を発見した場合は、速やかに修正し、関係者に周知することで、長期的な管理の効率化を図ることが重要です。Looker管理者は、定期的に命名規則の遵守状況を監査し、必要に応じてトレーニングを実施することで、組織全体のセキュリティ意識を高めることができます。
明確な命名規則は、Lookerのアクセス制御における最初のステップであり、その後のドキュメント整備や継続的な改善活動を支える基盤となります。適切な命名規則は、Lookerの利用効率を向上させ、データドリブンな意思決定を支援します。
ドキュメントの整備
Lookerにおけるアクセス制御に関するドキュメントの整備は、設定内容の共有と標準化に不可欠です。各ロールやグループに関連する権限セット、アクセスフィルタの設定方法、およびその理由を詳細に記録することで、Lookerの管理者は設定内容を容易に理解し、変更やトラブルシューティングを迅速に行えるようになります。
ドキュメントには、具体的なシナリオごとのアクセス制御設定手順を記載することが推奨されます。例えば、「営業担当者は自分の担当地域の顧客データのみを表示できる」という要件を実現するための具体的な手順を、スクリーンショットや図表を用いて解説します。
また、アクセス制御の変更履歴や、変更理由、変更担当者などを記録することで、監査証跡を確保し、セキュリティインシデント発生時の原因究明を容易にします。
ドキュメントは、Lookerの利用者に共有し、アクセス制御に関する理解を深めるための教材としても活用できます。例えば、新しい社員が入社した際に、Lookerのアクセス制御に関するドキュメントを研修資料として提供することで、早期にLookerの利用を開始できるよう支援します。
ドキュメントの形式は、Wiki、社内ポータル、または専用のドキュメント管理システムなど、組織のニーズに合わせて選択します。重要なのは、ドキュメントが常に最新の状態に保たれ、容易にアクセスできること。
Looker管理者は、定期的にドキュメントを見直し、必要に応じて更新することで、アクセス制御の正確性と信頼性を維持します。ドキュメント整備は、Lookerのアクセス制御における重要な要素であり、組織全体のデータセキュリティを向上させ、コンプライアンス要件への準拠を支援します。
継続的な改善
Lookerのアクセス制御は、一度設定したら終わりではありません。ビジネス要件の変化や組織構造の変更に合わせて、定期的に見直しと改善を行う必要があります。
アクセス制御設定の効果を継続的に監視し、ユーザーからのフィードバックを収集することで、改善点を見つけ出すことができます。例えば、特定のユーザーグループから「必要なデータにアクセスできない」というフィードバックが寄せられた場合、そのグループに割り当てられているロールやアクセスフィルタの設定を見直します。
また、新しいデータソースが追加された場合や、既存のデータソースの構造が変更された場合には、アクセス制御設定が適切かどうかを確認し、必要に応じて修正します。
アクセス権の見直しは、少なくとも四半期に一度は実施し、その結果をドキュメントに記録します。見直しの際には、最小権限の原則に基づき、不要なアクセス権を削除し、必要なアクセス権のみを付与するようにします。
また、退職した社員のアカウントは速やかに無効化し、アクセス権を剥奪します。Lookerの監査ログを活用することで、不審なアクセスや権限の変更を検知し、セキュリティインシデントの早期発見につなげることができます。
継続的な改善活動を通じて、Lookerのアクセス制御は常に最適化され、組織のセキュリティ体制を強化します。継続的な改善は、Lookerのアクセス制御における不可欠な要素であり、変化するビジネス要件への迅速な対応を可能にし、データセキュリティリスクを最小限に抑えます。
おわりに
Lookerのアクセス制御は、組織の成長とともに複雑さを増します。本記事では、ロールとグループの適切な設計、アクセスフィルタの活用、そして最小権限の原則に基づいた運用を通じて、安全かつ効率的なデータ分析基盤を構築する方法を解説しました。
しかし、最適な設定は組織の規模や構造によって異なります。もし、Lookerのアクセス制御でお困りの際は、ぜひHakkyにご相談ください。お客様のデータ活用を支援いたします。

お知らせ
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