GCPで組織内のDefault VPCを一括で削除する方法

はじめに

Google Cloud Platform (GCP) では、仮想プライベートクラウド（VPC）を使用してリソース間のネットワークを管理します。この記事では、GCP が提供するデフォルトの VPC（Default VPC）に焦点を当て、そのメリットとデメリットについて解説します。その後、組織ポリシーに準拠させるため一括で Defalt VPC を削除する方法について解説します。

メリット

デフォルト VPC はプロジェクトの作成時に自動的にセットアップされるため、ユーザーはネットワークの設定に時間をかけることなくすぐにリソースのデプロイを始めることができます。
ネットワークの知識が少ない初心者でも、デフォルト VPC を利用することで簡単に GCP のリソースを利用することができます。
デフォルト VPC は Google によってフルマネージドされているため、ユーザーはネットワークの管理に関する心配をする必要がありません。

デメリット

デフォルト VPC は簡単にセットアップできる反面、ユーザーがカスタマイズすることができるオプションが限られている場合があります。
デフォルト VPC は多くの便利な機能を提供しますが、その設定が一般的なものであるため、特定のセキュリティ要件を満たすために追加の設定が必要な場合があります。

gcloud コマンドラインツールのインストール

gcloud コマンドラインツールは、Google Cloud リソースの作成と管理を行う基本的な CLI（コマンドラインインターフェス）ツールです。このツールを使用すると、コマンドラインから、またはスクリプトや他の自動化により、多くの一般的なプラットフォームタスクを実行できます。

インストール手順

Default VPC の存在を確認する

for project in $(gcloud projects list --format="value(projectId)"); do
    echo "Checking project $project..."
    vpc=$(gcloud compute networks list --project=$project --filter="name=default" --format="value(name)")
    if [ "$vpc" == "default" ]; then
        echo "Default VPC exists in project $project"
    else
        echo "Default VPC does not exist in project $project"
    fi
done

実行結果

Checking project proj-hogehoge...
API [compute.googleapis.com] not enabled on project [proj-hogehoge]. Would you like to enable and retry (this will take a few minutes)? (y/N)?

gcloud projects list コマンドを実施するためには、compute.googleapis.com (Google Compute Engine API) を有効にする必要があります。Google Cloud Platform (GCP) 上で仮想マシン（VM）インスタンスや関連リソースを作成・管理できるようになります。ただし、以下の点に注意が必要ですので、プロジェクトのニーズに合った判断を行ってください。

備考

コスト: Compute Engine API を有効にしてもそれ自体にコストはかかりませんが、API を利用して作成された VM インスタンスやその他のリソースは、利用料金が発生します。不要なリソースが起動されているとコストがかかるため、リソースの管理には注意が必要です。
セキュリティ: Compute Engine API を通じて VM インスタンスやネットワークの設定が変更できるため、不正なアクセスや設定のミスによるセキュリティリスクがあります。適切なアクセス権限の設定や監視が重要です。
リソースの管理: Compute Engine API を有効にすると、VM インスタンスやディスクなどのリソースを作成できるようになりますが、これらのリソースの管理（更新、削除など）も必要になります。

compute.googleapis.com が無効になっているプロジェクトを検索して有効にする

for project in $(gcloud projects list --format="value(projectId)")
do
  echo "Enabling compute.googleapis.com for project $project..."
  gcloud services enable compute.googleapis.com --project=$project --quiet
done

Default VPC がアクティブなリソースを探す

全てのプロジェクトでデフォルト VPC がアクティブなリソースを探すには、以下のスクリプトを利用できます。

for project in $(gcloud projects list --format="value(projectId)")
do
  echo "Checking project $project..."

  # Compute instances
  instances=$(gcloud compute instances list --project=$project --filter="networkInterfaces.network:default" --format="value(name)")
  if [ ! -z "$instances" ]; then
    echo "Active compute instances in default VPC:"
    echo "$instances"
  fi

  # App Engine instances
  app_instances=$(gcloud app instances list --project=$project --filter="network:default" --format="value(id)")
  if [ ! -z "$app_instances" ]; then
    echo "Active App Engine instances in default VPC:"
    echo "$app_instances"
  fi

  # Kubernetes clusters
  clusters=$(gcloud container clusters list --project=$project --filter="network:default" --format="value(name)")
  if [ ! -z "$clusters" ]; then
    echo "Active Kubernetes clusters in default VPC:"
    echo "$clusters"
  fi

  # Cloud Functions
  functions=$(gcloud functions list --project=$project --filter="network:default" --format="value(name)")
  if [ ! -z "$functions" ]; then
    echo "Active Cloud Functions in default VPC:"
    echo "$functions"
  fi

  # Network subnets
  subnets=$(gcloud compute networks subnets list --project=$project --filter="network:default" --format="value(name)")
  if [ ! -z "$subnets" ]; then
    echo "Active network subnets in default VPC:"
    echo "$subnets"
  fi

  # Firewall rules
  firewall_rules=$(gcloud compute firewall-rules list --project=$project --filter="network:default" --format="value(name)")
  if [ ! -z "$firewall_rules" ]; then
    echo "Active firewall rules in default VPC:"
    echo "$firewall_rules"
  fi

  # Network peerings
  peerings=$(gcloud compute networks peerings list --project=$project --filter="network:default" --format="value(name)")
  if [ ! -z "$peerings" ]; then
    echo "Active network peerings in default VPC:"
    echo "$peerings"
  fi

  echo "-------------------------------------------------------------"
done

このスクリプトは、全てのプロジェクトでデフォルト VPC に関連付けられているリソース（コンピュートインスタンス、App Engine インスタンス、Kubernetes クラスタ、Cloud Functions、ネットワークのサブネット、ファイアウォールルール、ネットワークのピアリング）をリストアップします。

Default VPC の一括削除

デフォルトの VPC を削除するには、以下のコマンドを使用できます。ただし、デフォルト VPC に関連付けられたリソースが存在する場合、それらのリソースを削除または別のネットワークに移行する必要があります。以下はデフォルト VPC を削除するためのコマンドの一例です。

for project in $(gcloud projects list --format="value(projectId)"); do
    echo "Deleting default VPC in project $project..."
    gcloud compute networks delete default --project=$project --quiet
done

このコマンドは、各プロジェクトでデフォルトの VPC ネットワークを削除します。--quiet フラグは、ユーザーの確認なしに削除を進めるためのものです。重要な注意点として、これによりデフォルト VPC に関連付けられていたリソースが失われる可能性があります。従って、実行する前に十分なバックアップと確認が必要です。

まとめ

デフォルト VPC は、GCP を利用する上で非常に便利なオプションの一つです。初心者や簡単なプロジェクトの場合はデフォルト VPC を利用することで、すぐにリソースのデプロイを始めることができます。しかし、より高度なカスタマイズや特定のセキュリティ要件がある場合は、カスタム VPC を検討することも重要です。

参考

備考

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