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執筆者:Hakky AI

自治体向け|データ連携基盤導入事例10選|APIゲートウェイ活用

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記事のポイント
  • データ連携基盤は住民ニーズに応じたサービス提供を可能にし、住民満足度の向上に貢献。
  • APIゲートウェイはデータ連携基盤の共通機能を支え、認証・認可機能で安全性を確保。
  • 防災、健康、観光分野でのデータ活用事例は、住民生活の質向上と地域活性化を示す。

はじめに

本記事では、自治体におけるデータ連携基盤構築の必要性と、その具体的な構築・活用事例について解説します。住民サービスの向上、業務効率化、地域課題の解決、産業奨励といった多岐にわたる目的を達成するために、データ連携基盤がどのように貢献できるのかを、具体的な事例を交えながらご紹介します。

特に、ガバメントクラウドの活用に焦点を当て、セキュアで効率的なデータ連携基盤の構築方法を解説します。

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データ連携基盤構築の必要性と自治体の現状

データ連携基盤は、住民サービスの向上と自治体の業務効率化に不可欠であり、その構築が求められています。しかし、多くの自治体では既存システムの課題やデータサイロ化が進行しており、データ連携基盤の導入が急務となっています。

住民サービスの高度化ニーズ

現代社会において、住民ニーズは多様化の一途を辿っており、従来の画一的なサービス提供では対応しきれない状況が生じています。データ連携基盤を活用することで、住民一人ひとりのニーズに合わせたパーソナライズされたサービス提供が可能となり、満足度の向上が期待できます。

例えば、

  • 子育て世代向けには、保育施設の空き情報やイベント情報をタイムリーに提供し、
  • 高齢者向けには、健康診断の結果や介護サービスの利用状況を一元的に管理することで、個別の状況に応じたサポートを実現できます。

さらに、防災情報や地域イベント情報などをプッシュ型で配信することで、住民の安全・安心な生活をサポートできます。これらのサービスを実現するためには、自治体が保有する様々なデータを連携させ、分析・活用することが不可欠です。

データ連携基盤は、これらのデータを安全かつ効率的に連携させるための基盤として、重要な役割を果たします。データ連携基盤の導入により、住民は必要な情報を必要な時に取得できるようになり、より質の高い行政サービスを享受できるようになります。

既存システムの課題とデータサイロ化

多くの自治体では、長年にわたり個別の業務システムが構築されてきた結果、システム間の連携が不十分となり、データが分断された状態、いわゆるデータサイロ化が深刻化しています。このデータサイロ化は、自治体全体のデータ活用を妨げる大きな要因となっています。

例えば、住民基本台帳、税務システム、福祉システムなど、異なるシステム間で同一の住民情報が重複して管理されている場合、情報の不整合が発生しやすく、正確なデータ分析が困難になります。また、ある部署で収集したデータが他の部署で活用されない、あるいは活用したくてもできないといった状況も生じます。

このような状況を打破するためには、データ連携基盤を導入し、各システムに散在するデータを一元的に管理し、相互に連携させることが重要です。データ連携基盤を導入することで、データの重複や不整合を解消し、より正確なデータ分析が可能になります。また、部署間のデータ共有が促進され、より効率的な業務遂行や住民サービス提供が実現します。

データ連携基盤は、データサイロ化を解消し、自治体全体のデータ活用を促進するための基盤として、重要な役割を果たします。

セキュリティとプライバシー保護の重要性

データ連携基盤の構築においては、セキュリティ対策とプライバシー保護が極めて重要な課題となります。自治体が保有するデータには、個人情報や機密情報が含まれるため、これらの情報が漏洩したり、不正に利用されたりすることがないよう、万全な対策を講じる必要があります。

個人情報保護法をはじめとする関連法規を遵守することはもちろん、最新のセキュリティ技術を導入し、多層防御体制を構築することが求められます。

具体的には、

  • データの暗号化、
  • アクセス制御、
  • 不正アクセス検知などの対策を講じるとともに、
  • 職員に対するセキュリティ教育を徹底する必要があります。

また、個人情報の取り扱いに関する規程を明確化し、運用状況を定期的に監査することも重要です。

データ連携基盤の構築においては、セキュリティ専門家やプライバシー保護の専門家と連携し、リスクアセスメントを実施した上で、適切な対策を講じることが不可欠です。セキュリティとプライバシー保護を両立させることで、住民からの信頼を得て、データ連携基盤の円滑な運用を実現することができます。

データ連携基盤の構築要件とクラウド活用

データ連携基盤の構築には、適切なクラウド環境の選定、共通機能の実装、堅牢なセキュリティ対策が不可欠であり、ガバメントクラウドの活用は、これらの要件を満たす上で有効な選択肢となります。

クラウド環境の選定ポイント

自治体がデータ連携基盤を構築する際、クラウド環境の選定は重要な決定です。選定にあたっては、データ統合能力、リアルタイムデータ処理、既存システムとの互換性、セキュリティ機能、コストパフォーマンス、ベンダーの信頼性を総合的に評価する必要があります。

ガバメントクラウドは、複数の自治体で共同利用することで運用コストを削減できるメリットがある一方、カスタマイズの柔軟性が低いというデメリットも考慮しなければなりません。導入コストについては、クラウド型は初期コストが低いものの年間費用が発生し、オンプレミス型は初期投資が大きいものの維持費用がかかる点を比較検討する必要があります。

データのセキュリティを確保し、継続的な改善を目指すためには、最新情報を常に収集する姿勢が不可欠です。例えば、全国の自治体が共同で利用するガバメントクラウドの利用は、運用コストを削減し、自治体ごとのコスト負担を軽減する成功事例として挙げられます。

共通機能とAPIゲートウェイの役割

データ連携基盤において、異なるシステム間のデータ共有を円滑にするためには、共通機能の実装が不可欠です。APIゲートウェイは、この共通機能を実現するための重要な要素であり、アプリケーションからのAPIリクエストを受け取り、適切なリソースにルーティングする役割を担います。

APIゲートウェイは、認証・認可機能を備えており、APIリクエストの正当性を確認し、特定のアクセス権を持つユーザーのみがAPIリソースにアクセスできるようにします。また、すべてのAPIリクエストと応答を記録することで、トラフィックの監視とトラブルシューティングを容易にします。

Kong Gatewayは、APIゲートウェイとして広く使われており、国内外の多様なサービスで実績を積んでいます。ある自治体では、交通データと環境データを統合し、リアルタイムでの交通状況を把握し、渋滞の緩和や環境改善に向けた施策を講じています。APIゲートウェイを介して、各種データを一元的に管理し、必要な情報を迅速に収集・分析することができました。

セキュリティ対策とユーザ管理

データ連携基盤におけるセキュリティ対策は、住民の個人情報や機密情報を保護するために最も重要な要素の一つです。データの暗号化、アクセス制限、不正アクセス防止などの対策を講じる必要があります。

APIゲートウェイは、HTTPS対応やカスタムHeader制御などの機能を使用して、APIリクエストのセキュリティを確保します。ユーザー管理においては、正当なユーザーにAPI Keyを頒布し、個々のユーザーのアクセス権を管理することが重要です。

ユーザーに特定のロール(例えば、管理者や一般ユーザー)を割り当て、各ロールに応じたアクセス権限を設定します。APIリクエストとログを分析して、ユーザーの行動を追跡し、セキュリティのインシデントを早期発見するためのアラート設定も可能です。APIゲートウェイのアップデートと脆弱性情報の継続的な確認を行い、セキュリティ対策を強化することが不可欠です。

データ連携基盤導入による住民サービス向上事例

データ連携基盤の導入は、住民サービスの向上に大きく貢献します。業務効率化とコスト削減の効果を含め、具体的な事例を以下に紹介します。

防災分野でのデータ活用事例

データ連携基盤は、災害発生時の迅速な情報共有と対応を可能にします。高松市では、水位・潮位センサーとカメラでリアルタイムにデータを収集・分析し、河川の氾濫や高潮に対する減災に役立てています。

東京都では、帰宅困難者オペレーションシステムやスマートメーターによる水道管漏れ検知など、多様なデータ収集・分析システムを導入しています。これらのシステムは、避難情報や安否確認におけるデータ連携を促進し、住民の安全確保に貢献しています。

岩手県では、LINEを活用した避難所運営の実証実験を実施し、マイナンバーカードと連携させることで、迅速な避難者情報の把握を目指しています。ドローンを活用して避難を呼びかけ、安全なルートへ誘導する実験も行っています。

宮城県仙台市では、VR技術を活用して住民に大規模災害体験を提供し、防災意識の向上を図っています。体験後には、マイタイムラインの作成や日頃の備えについて学ぶ機会を提供し、学校や職場での防災学習に活用されています。

デジタル庁が中心となり発足した「防災DX官民共創協議会」では、防災デジタルプラットフォームの構築を目指し、地方公共団体や民間企業と連携して防災データの連携基盤を策定しています。これらの事例から、データ連携基盤が災害時の情報共有を円滑にし、住民の安全を守る上で重要な役割を果たしていることがわかります。

健康分野でのデータ活用事例

健康分野では、データ連携基盤が健康診断データや医療情報の連携を促進し、住民の健康増進に貢献しています。北海道江別市は健康都市宣言を行い、大学と連携して健康関連の実証研究を進めています。

データ連携基盤を活用し、健康・医療分野に特化した研究資産を束ね、新たな健康付加価値を提供することで、住民のWell-being向上を図っています。

群馬県前橋市では、県と市が共同利用するデータ連携基盤を構築し、交通・モビリティや健康・医療分野を中心にデータ集約と分析を行い、市民サービスの向上を図っています。「まえばし暮らしテック事業」では、官民サービスが共通IDを用いて認証され、データ連携基盤を活用したユースケースが開発されています。

福島県会津若松市は、防災、行政、健康・医療、観光・地域活性化など複数の分野でサービスを提供するデータ連携基盤を構築しています。「複数分野のデータ連携による共助型スマートシティ推進事業」を実施し、各分野に応じたサービス提供を目指しています。これらの事例から、データ連携基盤が健康増進、地域包括ケアシステムの構築、そして住民の健康的な生活を支援する上で重要な役割を果たしていることがわかります。

観光分野でのデータ活用事例

観光分野では、データ連携基盤が観光客の行動分析や観光情報提供の最適化に貢献し、地域経済の活性化を支援しています。京都府京都市では、「KYOTO Trip+」を通じて観光情報と防災情報を多言語で提供し、旅行者が安心・快適な旅行体験を得られるようにしています。

旅行者が気象状況や減災に役立つ情報を投稿・共有できる機能も提供しています。石川県羽咋市は、「スマートシティ化」を新たなまちづくりのテーマとしてデータ連携基盤を構築し、市役所内で分散していた情報を一元化して可視化しています。

これにより、リアルタイムでの積雪監視や除雪作業の効率化を実現しています。静岡県内では、「高度データ共有化プラットフォーム」を構築し、宿泊データや人流データなどを活用して観光地域づくりを目指しています。

宿泊データや人流データを活用し、地域全体で効率的かつ付加価値の高い商品開発と観光地域づくりを進めています。これらの事例から、データ連携基盤が観光客の満足度向上、地域経済の活性化、そして持続可能な観光地域づくりに貢献していることがわかります。

他自治体の成功事例とAPIゲートウェイ導入

データ連携基盤の構築に成功した自治体の事例から、APIゲートウェイ導入のポイントと効果を考察します。

山口市のデータ連携基盤構築事例

山口市では、地域課題の解決と住民サービスの向上を目指し、データ連携基盤を構築しました。この基盤は、API公開とAPI管理機能を導入し、オープンデータを活用することで、市民生活に密着した様々なサービスを提供しています。

具体的には、防災、観光、子育て支援など、多岐にわたる分野でデータ連携の効果を発揮しています。API公開により、民間企業が保有するデータとの連携も可能になり、新たなサービス創出を促進しています。

データ連携基盤の構築プロセスにおいては、既存システムの改修やデータ形式の標準化、セキュリティ対策などが課題となりましたが、デジタル庁が提供するモジュールを採用することで、これらの課題を克服しました。

特に、APIゲートウェイの導入により、データの安全性と効率的な管理が実現し、スムーズなデータ連携を可能にしています。山口市ダッシュボードでは、防災、観光・交通、子育て・教育・公共施設、医療・福祉などの情報を公開しており、API連携によって迅速な情報収集を可能としています。

また、「山口カレンダー」と連携した市内のイベント情報やシェアサイクルポートの空き情報も掲載し、住民の利便性向上に貢献しています。APIを活用した民間企業との連携も強化しており、データ連携基盤に蓄積されたデータをAPIとして提供し、新たなサービスに活用されています。

一宮市の市民ポータルサイト構築事例

一宮市では、地域DXを推進し、市民のWell-Being向上を目指してデータ連携基盤を導入しました。この基盤を活用し、個々の行政サービスが持つデータを横断的に収集・連携することで、市民サービスの向上を図っています。

特に、市民ポータルサイトの構築においては、APIを公開し、接続することで、アプリケーションのプラットフォームとして機能させることを目指しています。

市民サービス向上のため、各アプリで取得するデータアセットと既存のオープンデータを連携させ、データの付加価値を高めることを重視しています。APIを活用し多くのアプリケーションと連携することで、業務効率化を図り、市民満足度向上に貢献しています。

一宮市はAPIを公開し、接続することで、アプリケーションのプラットフォームとして機能させることを目指しています。市民サービス向上のため、各アプリで取得するデータアセットと既存のオープンデータを連携させることで、データの付加価値を高めることを目指しています。APIを活用し多くのアプリケーションと連携し、効率化を図っています。

ガバメントクラウドを活用した自治体間データ連携

デジタル庁が推進するガバメントクラウドは、自治体間でのデータ連携を促進し、行政事務の効率化に貢献します。2025年までに地方公共団体全体業をガバメントクラウドに移行することを目指し、標準準拠システムへの移行を支援しています。

ガバメントクラウドの利用方法と注意点

ガバメントクラウドの利用にあたっては、利用申請と導入プロセスの理解、セキュリティ対策と運用体制の構築が不可欠です。ガバメントクラウドの利用申請は、デジタル庁が提供する手順に従い、必要なドキュメントを準備し、申請を行います。

導入プロセスでは、既存システムの移行計画を策定し、段階的にクラウド環境へ移行します。セキュリティ対策として、アクセス制御データ暗号化脆弱性対策などを実施し、定期的なセキュリティ診断を行います。

運用体制は、クラウド環境の監視障害対応セキュリティアップデートなどを担当するチームを組織し、24時間365日の運用体制を構築します。また、ガバメントクラウドの利用においては、コスト管理も重要です。利用料金の最適化やリソースの効率的な利用を心がけ、予算内で運用できるように計画を立てる必要があります。

既存システムとの連携における課題と解決策

既存システムとの連携では、技術的な課題とデータ形式の標準化が重要なポイントです。技術的な課題として、データ形式や文字コードの不統一が挙げられます。

解決策として、クラウドサービスの利用や新しい基盤の構築を通じて、統一されたデータ形式の導入が考えられます。API連携を推進することで、システム間のデータ連携を円滑に行えます。

APIゲートウェイを導入し、データ連携効率化セキュリティ向上を図ります。APIゲートウェイは、システム間のデータの受け渡しを自動化し、効率的なデータ管理を可能にします。また、データの侵入防止とセキュリティ認証の提供も行います。

埼玉県と目黒区の事例では、APIゲートウェイ「ASTERIA Warp」を活用し、AIによるデータ分析で効率的な物流システムを構築し、地域間の連携を強化しました。

データ連携基盤の継続的な改善と運用

データ連携基盤の運用体制と改善サイクルを確立し、住民ニーズの変化に対応した柔軟なシステム構築が求められます。導入後も定期的な監視を行い、問題点が発生する前に対処します。

住民や行政職員からフィードバックを取り入れ、基盤の改善を行います。最新技術を取り入れることで、基盤の機能を強化します。

API Gatewayやブローカーのサポートシステムを強化し、データの流れを把握しやすくします。AIを活用することで、データ分析の効率性を高め、より正確な結果を得ることが可能です。

定期的なセキュリティ診断とSIEMシステムの実施を行い、データ管理のセキュリティを高めます。データ分析の透明性を保つため、住民の同意を得る手続きを整備し、プライバシーの保護を図ります。

おわりに

データ連携基盤は、住民サービスの向上と業務効率化に不可欠です。しかし、多くの自治体ではデータサイロ化やセキュリティ対策の課題が山積しています。

Hakkyのデータ基盤構築支援は、これらの課題を解決し、セキュアな環境での迅速なデータ活用を実現します。データ統合管理、セキュアな基盤構築、迅速な意思決定を可能にし、住民サービスの向上に貢献します。ぜひ、Hakkyにご相談ください。

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参考文献

2025年06月14日に最終更新
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